ホームページ制作を「知り合いに頼む」という選択が、ものすごく危険な理由

はじめにお断りしておくと、この記事は「知り合いに頼むな」と言うために書いたものではありません。うまくいっている例も確かにあります。ただ、当社にご相談いただく作り直しの案件には、共通した原因がいくつもあります。金額ではなく構造の問題です。何が起きるのか、なぜ起きるのかを順に説明します。

この記事に出てくる言葉
ドメイン
「nextray.jp」のような、インターネット上の住所です。名刺やチラシに書くのはこれで、一度決めたら変わりません。
MEO対策
「新潟市 カフェ」のように地域名を付けて調べたとき、Googleマップの枠に出てくるようにすることです。地図と一緒に3件だけ並ぶ、あの枠のことを指します。
Googleビジネスプロフィール
Googleマップに出るお店の情報(写真・営業時間・電話番号・口コミ)を登録しておく、Googleの無料のサービスです。MEO対策は、ここを整えるところから始めます。
サーバー
ホームページの中身(文章・写真)を置いておく場所です。土地を借りるようなもので、借りているあいだは、誰がいつ見に来ても開けます。
クロール
Googleのプログラムが、そのページを見に来ることです。
地図の枠とサイトの一覧を、図で見る →

安くなっているのは、金額だけではありません

「知り合いに頼めば安い」。これはたいてい事実です。ホームページ制作の一般的な費用相場より安く、場合によっては無償に近い金額で作ってもらえることもあります。ここに嘘はありません。

安くなっているのは、金額だけではありません。同時に安くなっているものが2つあります。ひとつは成果物に対する要求水準、もうひとつは相手が使う時間です。

仕事として受注していれば、受け手には「対価に見合う品質を出す」という責任が発生します。安く、あるいは好意で引き受けている場合、その責任の根拠がありません。悪意の話ではなく、構造としてそうなるという話です。本業の合間、休日の空き時間に進むことになり、優先順位は当然そちらが上になります。

この記事の立場

知り合いに頼んで良い結果になっている会社もあります。この記事は、そうした例を否定するものではありません。ただ、うまくいかなかったときに戻すのが、とんでもなく高くつく。そこは先に知っておいてください。

実際に起きること①:見た目が崩れる

ご相談の中でもっとも多いのが、これです。作った本人のパソコンでは問題なく見えている。しかし他の環境で開くと崩れる。

ホームページの表示は、画面の幅・ブラウザの種類・OS・文字サイズの設定によって変わります。作り手が確認したのは、多くの場合そのうちの1通りだけです。よく起きるのは次のような症状です。

  • スマートフォンで横スクロールが発生する 指で左右に動いてしまう状態。表がはみ出している場合に起きやすく、パソコンだけで確認していると気づけません。
  • 文字が画像に重なる、途中で切れる 文章量が思ったより増えたときに起きます。あとから原稿を差し替えた場所で出ます。
  • ボタンが小さすぎて押せない 指の面積を考えずに設計されている場合、スマホでの問い合わせがそこで止まります。
  • 日本語が単語の途中で改行される 見出しで「人/手不足」のように割れる現象です。専用の指定をしないと防げません。

いずれも、知っていれば防げるものばかりです。裏を返せば、知らなければ全部起きるということでもあります。

実際に起きること②:検索対策が「ない」

見た目の崩れは、少なくとも見れば分かります。より深刻なのは、見ても分からないほうの問題です。

ホームページを作っただけでは、検索結果に出るとは限りません。検索エンジンに正しく内容を伝えるための実装が必要になります。具体的には次のようなものです。

  • タイトルタグと説明文 検索結果に表示される見出しと説明。ページごとに変える必要がありますが、全ページ同じ、あるいは初期値のままというケースが実際にあります。
  • 見出しの階層 文字を大きくする目的で見出しタグを使うと、構造が正しく伝わりません。
  • サイトマップと検索エンジンへの登録 これをやっていないと、そもそも存在に気づかれるまで時間がかかります。
  • Googleビジネスプロフィールとの整合 店舗や事業所の場合、住所や電話番号の表記がサイトと一致していないと不利になります。詳しくはMEO対策とは?店舗が最初にやるべき5つのことで解説しています。
  • スマートフォン対応と表示速度 いずれも検索順位に関わる要素として公表されています。画像を圧縮せずそのまま載せているサイトは、この時点で不利です。

これらが抜けていても、ホームページは問題なく表示されます。見た目は完成しています。だから発注した側は気づけません。気づくのは半年後、「そういえば問い合わせが1件も来ていない」と思ったときです。

問い合わせが来ない原因の切り分け方はホームページを作ったのに問い合わせが来ない理由にまとめました。

順位について

これらを実施すれば必ず上位に出る、というものではありません。検索順位はGoogleが決めるもので、誰にも保証できません。ここでお伝えしたいのは、やっていなければ土俵にすら上がれないという前提の部分です。

その結果、看板に泥を塗ることがあります

ここが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。

ホームページの効果は、プラスかゼロかではありません。マイナスがあります。取引を検討している相手、採用に応募しようとしている人、紹介を受けて調べている人。その全員が、御社のサイトを見ます。そして、サイトの品質を会社の品質と重ねて受け取ります

崩れた画面、数年前で止まったお知らせ、スマホで読めない文字。それを見た人が抱くのは「ホームページが古いな」ではなく、「この会社は大丈夫だろうか」です。会っていれば伝わったはずの誠実さや技術力が、会う前に打ち消されてしまう。これが、私がマイナスプロモーションと呼んでいる状態です。

ホームページは、多くの場合会社の看板として24時間出続けています。名刺やパンフレットと違い、こちらが渡した相手だけが見るものではありません。人目に触れる量が桁違いだからこそ、品質の影響も大きくなります。

なぜ「直してください」と言えなくなるのか

ここまでの問題は、指摘して直してもらえば済む話です。ところが、知り合いに頼んだ場合、その一言が驚くほど言いにくくなります

理由は単純です。安くしてもらった、あるいは好意で引き受けてもらったという負い目があるからです。

  • 「ここが崩れています」と伝えるのが、粗探しをしているように感じられて言えない
  • 修正を頼むと、また相手の休日を使わせることになる
  • 何度も言えば、仕事以外の付き合いにひびが入る
  • 他社に乗り換えると伝えたら、相手を否定することになってしまう

結果として何が起きるか。不満を飲み込んだまま、直らないサイトが公開され続けます。

これは相手が悪いのではありません。仕事の関係であれば当然行える「品質の要求」「納期の確認」「契約の解消」という3つの行為が、友人・知人という関係の上では実行コストが跳ね上がる。それだけのことです。逆に言えば、対価を払う関係だからこそ、遠慮なく直してくださいと言えます。

最大のリスクは、やめられないことです

そして、いちばん深刻なのがここです。品質は、最悪の場合は作り直せます。しかし作り直す権利そのものを持っていないことがあります。

ホームページを動かすには、次のものが必要です。

  • ドメイン(例:nextray.jp のような住所にあたるもの)
  • サーバー(データの置き場所)
  • 制作データ(サイトの中身そのもの)
  • Googleビジネスプロフィールなどの管理権限

知り合いに任せた場合、これらがすべて相手の個人アカウントで契約・管理されていることが珍しくありません。悪意ではなく、そのほうが手っ取り早いからです。しかしこの状態だと、次のことが起こり得ます。

  • 相手と連絡が取れなくなった瞬間、更新も移転も一切できなくなる
  • ドメインの契約更新が止まり、ある日サイトが消える。同じドメインを第三者に取得されると、原則として取り戻せません
  • 制作データがないため、他社に頼んでもゼロから作り直すしかない
  • 会社のメールアドレスがそのドメインの場合、メールごと止まる

相手が体調を崩す、転職して余裕がなくなる、単に疎遠になる。どれも起こり得ることで、そのとき「昔からの知り合いだから」は何の保険にもなりません。関係が良好なうちは問題が見えず、関係が切れた瞬間に全部が問題になる。これがこの選択の本質的な危うさです。

それでも知り合いに頼むなら、決めておく6項目

冒頭に書いたとおり、知り合いに頼むこと自体を否定するつもりはありません。信頼できる相手が本当に力を持っているなら、それは良い選択です。その場合は、着手前に次の6つだけ確認してください。関係が良いうちに決めておくことが重要です。

  • 1. ドメインは自社名義で契約する ここだけは譲らないでください。自社のクレジットカードで、自社のアカウントで取得します。他が全部失われても、ドメインさえ手元にあれば立て直せます。
  • 2. サーバーの契約者も自社にする 管理は任せても構いませんが、契約名義とログイン情報は自社で保持します。
  • 3. 制作データの引き渡し条件を先に決める 「終了時にデータ一式を渡してもらえるか」を、着手前に確認します。
  • 4. 公開後の修正をどうするか決める 誰が、どのくらいの頻度で、どこまで対応するのか。無償の善意に依存する形は、必ずどこかで止まります。
  • 5. 金額を決めて、対価として払う 安くても構いません。払う関係にすることで、遠慮なく直してくださいと言える立場が手に入ります。これは相手にとっても悪い話ではありません。
  • 6. やめるときの手順を決める 気まずい話ですが、先に決めておけば揉めません。むしろ相手を守ることにもなります。

制作会社に依頼する場合の確認事項はホームページ制作会社の選び方|見積書で確認すべき6項目に、実力の見分け方はプロのように見えても、中身は素人かもしれませんにまとめています。やり取りのしやすさも判断材料になるので、当社が指摘を受けて直してきたことをお客様への連絡文で気をつけていることに書きました。頼む側から相手を見るときの目安としてもお使いいただけます。

腕前ではなく、構造の問題

整理します。知り合いに頼むことの危うさは、腕前の問題ではありません。3つの構造にあります。

  • 品質を要求できない 安くしてもらった負い目が、「直してください」の一言を封じます
  • 問題に気づけない 検索対策の欠落は、見た目からは分かりません
  • 撤退できない ドメインとデータが相手の手元にあると、作り直す権利すら持てません

そして、その状態のサイトは止まっているのではなく、御社の評価を下げ続けます。これがいちばん見えにくく、いちばん高くつく損失です。

もし今、思い当たるところがあれば、まずはご自身のスマートフォンでサイトを開いてみてください。横にスクロールしないか。文字は読めるか。最後の更新はいつか。それだけでも、現状の見当はつきます。

実際に聞かれた質問

知り合いに頼むのは、やめたほうがよいですか?

うまくいっている例もあります。問題は金額ではなく、品質を要求しづらい関係と、やめにくい構造のほうです。頼む前に条件を決めておけば、多くは避けられます。

頼む前に、何を決めておけばよいですか?

金額、対応の範囲、直してほしいときの伝え方、返事の期限、ドメインとデータの名義、やめるときの手順。この6つを、口頭ではなく文字で残してください。

すでに頼んでいて、言い出しにくい場合はどうすればよいですか?

相手ではなく条件のほうを話題にしてください。「無償でお願いしていたぶん、ここからは有償にしませんか」という切り出し方であれば、関係を壊さずに整理できます。

ドメインとデータは、なぜ自社名義にする必要がありますか?

名義が相手側にあると、連絡が取れなくなった時点でサイトを動かせなくなるためです。取得と管理を任せる場合でも、名義だけは自社にしておいてください。

ご相談は、どなたでも無料です

「今のサイトがどういう状態なのか」を客観的に知りたいだけ、という段階のご相談で構いません。当社にご依頼いただかなくても、費用は一切かかりません。セカンドオピニオンとしてお使いください。ドメインの名義がどうなっているか分からない、といったご質問にもお答えします。こちらから追いかけてご連絡することはありません。

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