補助金の案内資料を作って、分かったこと
先日、お客様向けに補助金の案内資料を1社ぶん作りました。制度を読み込んで、費目を組んで、実質の負担がいくらになるかまで計算しました。
作りながら分かったのは、第20回から条件が2つ変わっているということです。前の回の感覚のまま計画を立てると、途中で組み直すことになります。金額の上限と、申請の出し方。どちらもホームページに直接効く変更でした。
もうひとつ、日程に落とし穴があります。公表されている申請締切は、実際に動ける締切ではありません。ここを取り違えると、計画が間に合っていても出せません。
この3点を、順に書きます。
先にお断りしておきます
私は補助金の専門家ではありません。この記事は公募要領の告知と商工会議所の案内を読んで整理したものです。金額も日程も回ごとに変わりますし、同じ制度でも個別の事情で結論が変わります。申請の前に必ず、最寄りの商工会議所・商工会と、公募要領の本文でご確認ください。
第20回の枠組み
2026年5月27日に第20回の公募要領が公開されました。数字だけ先に並べます。
- 補助率 対象経費の3分の2。直近期が赤字の事業者は4分の3に上がります。
- 補助上限 50万円。インボイス発行事業者の登録を受けている、または受ける予定の場合は100万円。
- 申請締切 2026年12月15日17時。
- 対象 小規模事業者。業種ごとに従業員数の上限があり、超えていると申請できません。
上限50万円と聞くと小さく感じるかもしれませんが、補助率が3分の2なので、75万円の取り組みに対して50万円が戻るという計算になります。実質の負担は25万円です。
なお、賃金引上げの特例など、上限がさらに上がる仕組みも用意されています。条件が細かいので、当てはまりそうな方は窓口で聞いてみてください。
ウェブサイト関連費に30万円の上限がついた
ここが第20回の変更点のひとつめです。
これまでウェブサイト関連費は「補助金交付申請額の4分の1まで」という比率での縛りでした。第20回からは金額そのものに上限が入りました。この費目で受け取れる補助金は30万円までです。
補助率が3分の2ですから、逆算すると対象経費として計上できるホームページの費用は45万円(税込)までということになります。それを超えてかけたぶんは、全額が自己負担です。
ホームページの制作費は、作り方によって数万円から数百万円まで開きます。上限が金額で固定されたことで、見積りが高いほど補助金でカバーできる割合は下がるという構造になりました。150万円の見積りに対して戻るのは30万円、つまり2割です。
ホームページ「だけ」では出せません
変更点のふたつめです。ウェブサイト関連費だけの単独申請ができなくなりました。広報費だけの単独申請も同じです。
つまり「ホームページを作りたいので補助金をください」という出し方は通りません。ホームページ制作と、ほかの販路開拓の取り組みを組み合わせた計画にする必要があります。組み合わせる相手としていちばん自然なのは広報費で、Web広告やSNS広告の出稿、チラシ・パンフレットの制作費がここに入ります。ほかの費目は公募要領に一覧があります。
意地悪な変更に見えるかもしれませんが、私はこれで筋が通っていると思います。ホームページは、公開した瞬間には誰にも見られていません。公開しただけで人が集まるのは、すでに名前が知られている会社だけです。作ることと、知らせること。この2つが揃って初めて販路開拓になります。問い合わせが来ないサイトの多くは、そもそも見られていません。
費目を組むときは、ウェブサイト関連費45万円+広報費30万円で対象経費が75万円、戻る補助金が50万円。これが上限いっぱいの組み方になります。
本当の締切は12月4日です
申請締切は2026年12月15日17時。ただし、この日付だけを見ていると間に合いません。
申請には商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書(様式4)が要ります。この発行の受付締切が2026年12月4日で、申請締切より11日早い。しかも受付締切を過ぎてからの発行依頼は、理由を問わず受け付けてもらえません。
さらに、様式4はその場ですぐもらえる書類ではありません。窓口の方が事業計画の中身を読んだうえで発行するもので、締切前は依頼が集中します。逆算すると、11月のうちには計画の骨格ができている必要があります。
ホームページ制作の側から見ると、これはかなり手前の話です。何を載せるか、写真をどう用意するか、いくらかかるか。見積書が出ていないと計画は書けません。制作会社に声をかけるのは、様式4を依頼するより前になります。
補助金を前提にすると、作る順番が変わる
補助金を使わない場合、私のところでの順番はこうです。無料でデモを作り、実物を見て判断していただき、契約して、公開する。デモは契約前に無料で作りますので、判断材料は先に出ます。
補助金を使う場合は、この前に工程が2つ挟まります。
- 見積書をもらう 計画書に金額を書くために要ります。
- 計画を書いて、様式4をもらう 商工会議所・商工会の窓口へ。ここにいちばん時間がかかります。
そして、交付決定より前に発注や支払いをしたものは、原則として補助の対象になりません。採択の連絡を待たずに動くと、せっかくの計画が無駄になります。着手してよい日がいつなのかは、必ず窓口で確認してください。
結果として、公開までの時間が数ヶ月伸びます。これは補助金の欠点ではなく性質です。急ぐ理由がある会社には向きません。
読んだ方から聞かれること
ホームページの制作費に補助金は使えますか?
小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉では、ウェブサイト関連費として申請できます。ただし第20回では、この費目で受け取れる補助金が30万円までに制限され、ウェブサイト関連費だけの単独申請もできなくなりました。広告やチラシなど、ほかの販路開拓の取り組みと組み合わせた計画として出す必要があります。
第20回の申請締切はいつですか?
申請締切は2026年12月15日17時です。ただし申請には商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書(様式4)が必要で、その発行受付締切は2026年12月4日です。受付締切を過ぎてからの発行依頼は理由を問わず受け付けられないため、実質の締切は12月4日だとお考えください。
補助金が採択されなかったら、ホームページは作れませんか?
作れます。補助金は初期の負担を軽くする手段のひとつで、制作の前提ではありません。NextRayは初期費用0円・月額29,800円(税別)なので、採択の有無にかかわらず着手できます。ご相談の段階で「補助金を待つほうがいい」と判断した場合は、そうお伝えします。
補助金は手段で、前提ではありません
ここまで書いておいて何ですが、私は補助金を勧めも止めもしません。向き不向きがはっきり分かれるからです。
向いているのは、ホームページと同時に広告やチラシも打つ予定があり、公開まで数ヶ月待てる会社です。逆に、いま問い合わせが止まっていて今月中に手を打ちたい、という状況なら、待っているあいだの損のほうが大きくなります。
私のところは初期費用0円ですから、採択の結果を待たずに着手できます。初期費用を0円にした理由は補助金とまったく無関係なのですが、結果として「補助金の結論が出るまで止まらない」という形にはなっています。
それと、これは補助金に限らず言えることです。公的な制度に一度でも申請すると、書類の書き方が身につきます。自分が何をやっている会社で、これから何をするのかを、他人が読める形にする作業だからです。私も公的認定の申請を準備していますが、通るかどうかとは別に、この作業そのものに意味がありました。
最後に出典を書いておきます。中小企業庁「小規模事業者持続化補助金〈一般型・通常枠〉(第20回)公募要領」(2026年5月27日公開)と、商工会議所の案内。確認日は2026年8月25日です。数字も日程も変わります。申請の前に、必ず最新の公募要領と窓口でご確認ください。