出発点は「言っているだけ」の弱さ
当社は、お受けする案件数に上限を設けています。ホームページ制作50案件まで。1案件ごとに手をかけ続けるための制限で、サイトにも理由を書いています。
ただ、ここにひとつ弱さがあります。「上限があります」と言っているのは、当社自身だという点です。
「残りわずか」「限定◯席」という言葉が、実態と関係なく煽りに使われる場面を、皆さんも見たことがあるはずです。だからこそ、聞く側が「本当に?」と疑うのは当然です。当社がどれだけ本気で上限を守っていても、自己申告である限り、演出と区別がつきません。
この「言っているだけ」の状態を抜け出す方法はないか。考えて行き着いたのが、公的認定でした。
申請準備中の3つの制度
当社が準備しているのは、次の3つです。いずれも中小企業向けの、国や都道府県の制度です。
① 経営革新計画(都道府県知事の承認)
新しい事業活動に取り組む中小企業が、数年分の経営計画を作って都道府県知事の承認を受ける制度です。計画には、事業の内容・数値目標・実施体制を具体的に書きます。当社の場合、受付上限を核とした事業計画そのものをここに書き込みます。
② 事業継続力強化計画(経済産業大臣の認定)
災害などの緊急事態に備えて、事業を続けるための体制をまとめ、経済産業大臣の認定を受ける制度です。一人で運営する会社にとって「代表に何かあったらどうするのか」は、お客様がいちばん心配される点です。当社は引き継ぎ体制を整えていますが、これも現状は自己申告です。その体制を、認定を受けた計画として持つことが狙いです。
③ 経営力向上計画(経済産業大臣の認定)
人材育成やコスト管理などで経営力を高める計画を作り、経済産業大臣の認定を受ける制度です。認定されると税制や金融の支援策の対象になり得ますが、当社にとっての主眼はそこではなく、「上限を設けて品質を維持する」という運営方針を、認定計画の実施事項として明文化することにあります。
目的は「公文書で裏づける」こと
3つに共通しているのは、どれも審査があり、通れば計画の内容が公的な文書に残るという点です。
もしすべて承認・認定されれば、当社はこう言えるようになります。
- 「上限50件を核とする事業計画は、都道府県知事の承認を受けています」
- 「上限による品質維持は、経済産業大臣に認定された計画の実施事項です」
- 「一人で運営を続けるための体制は、経済産業大臣の認定を受けています」
同じ「上限があります」でも、自己申告と、審査を経た公文書に書いてあることとでは、重みがまったく違います。セールストークを制度に変える。これが当社の目的です。
補足すると、各制度には税制優遇や金融支援などの実利も用意されています。それを目当てに申請する会社が多いでしょうし、それ自体は正しい使い方です。ただ当社の場合、順序が逆で、裏づけが主、支援策が従です。
費用はほぼかからない
ここが意外に知られていない点です。当社がこの準備にかけた(かける予定の)お金を隠さず書きます。
- 経営革新計画の申請 無料
- 事業継続力強化計画の申請 無料
- 経営力向上計画の申請 無料
- 電子申請に使う「GビズID」の取得 無料
- 公的支援機関への事前相談 無料
つまり、申請にかかる費用はゼロです。かかっているのは、計画書を書く時間と、相談に足を運ぶ時間だけ。行政書士や中小企業診断士に作成を依頼すれば報酬が発生しますが、自分で書いて申請することも制度上は可能で、当社は自分で書いています。
「公的認定なんて、大きな会社がコンサルタントにお金を払って取るもの」というイメージがあるかもしれません。少なくとも当社が触れている範囲では、そうではありませんでした。
実際にどう進めているか
当社の進め方をそのまま書きます。地域や制度で細部は変わりますが、流れの参考にはなると思います。
- GビズIDプライムを申請する 国の電子申請に使う共通ID。マイナンバーカードがあればオンラインで申請でき、取得まで数週間かかるため、最初に着手しました。ここが全体の律速です
- 支援機関に事前相談を予約する 経営革新計画は、都道府県の担当窓口や支援機関への事前相談から始まるのが一般的です。当社も新潟県の支援機関に相談しながら進めています。確定申告書など、実績の分かる書類を持参します
- 計画の下書きを自分で書く 数値目標・実施事項・体制。書いてみると、自社の事業を数年単位で説明する言葉が、意外なほど整理されていないことに気づきます
- 電子申請できるものは電子で出す 事業継続力強化計画と経営力向上計画は、GビズIDがあれば電子申請できます
副産物として大きかったのは、3つ目です。審査に出せる水準まで計画を言語化する作業そのものが、経営の棚卸しになりました。仮にすべて不認定でも、この作業には価値があったと言い切れます。
反対側の話
良いことばかり書いてきたので、反対側も書きます。
1. 認定されるとは限りません
3つとも審査があります。申請すれば通る制度ではありません。当社もこの記事の時点では申請準備中であり、1件も承認・認定されていません。「挑む理由」というタイトルにしたのは、結果がまだ出ていないからです。結果が出たら、通っても通らなくても、その事実を書きます。
2. 時間はかかります
費用は無料でも、時間は無料ではありません。IDの取得に数週間、審査にも制度ごとに数週間から1か月以上かかります。計画書を書く時間も含めれば、全体で数か月がかりの取り組みです。
3. 要件の細部は、自分の状況で確認が要ります
創業からの年数や申請の名義など、制度ごとに細かい要件があります。当社も、個人事業として出すか法人設立後に出すかという論点を、支援機関との相談で確認している最中です。この記事を読んで「うちも出せる」と即断せず、まず窓口に相談してください。相談は無料です。
小さな会社ほど効く理由
最後に、なぜ「小さな会社ほど効く」と考えているかを書きます。
大きな会社には、実績・社歴・組織という信用の裏づけが最初からあります。小さな会社、まして一人の会社には、それがありません。信用の裏づけを自前で持てないなら、公の審査を借りればいい。これが当社の結論です。
審査は、会社の規模を見ているのではなく、計画の中身を見ています。つまり規模で勝負できない会社でも、計画の質では土俵に上がれるということです。しかも費用はほぼゼロ。小さな会社にとって、これほど割のいい信用の作り方は多くないと思います。
取得済みの認定・資格は認定・資格のページにまとめています。このページには「第三者が発行し、公式ページで確認できるものだけを載せる」という方針があり、今回の3つも、承認・認定されたものから順に加えていく予定です。
あとから聞かれることが多い点
公的認定の申請に費用はかかりますか?
当社が準備している経営革新計画・事業継続力強化計画・経営力向上計画は、申請そのものはいずれも無料です。電子申請に使うGビズIDの取得や、公的機関への事前相談も無料でした。かかるのは書類を作る時間だけです。行政書士などに作成を依頼すれば報酬がかかりますが、自分で書くことも制度上は可能です。
申請すれば必ず認定されますか?
されません。いずれの制度にも審査があり、計画の内容が要件を満たさなければ承認・認定されないことがあります。当社もこの記事の時点では申請準備中であり、認定される保証はありません。だからこそ、通ったときに「審査を経た」と言える価値があるのだと思っています。
一人の会社や個人事業主でも申請できますか?
制度によりますが、多くは中小企業・小規模事業者を対象としており、従業員のいない会社や個人事業主も対象に含まれる場合があります。ただし申請名義や事業年数などの要件は制度ごとに細かく異なるため、都道府県の担当窓口や商工会議所・支援機関への事前相談をおすすめします。当社も支援機関に相談しながら進めています。
認定されると何が得られるのですか?
制度ごとに、税制優遇・金融支援・補助金の加点などの支援策が用意されています。ただし当社が申請する一番の目的はそこではなく、事業計画の中身(当社の場合は受付件数の上限)が審査を経た公文書に記載される、という点です。何を得たいかによって、選ぶ制度も変わります。
自分で言うより、審査を通す
自分で言うより、審査を通したほうが早いと思っています。
- 自己申告は、演出と区別がつかない どれだけ本気でも、言っているのが自分だけなら弱い
- 公的認定は、審査を経た裏づけになる 経営革新計画・事業継続力強化計画・経営力向上計画
- 費用はほぼゼロ 申請・ID取得・事前相談まで無料。かかるのは時間
- 審査があるから、必ず通るとは限らない 当社もまだ準備中で、結果は出ていない
- 小さな会社ほど効く 規模の信用がないからこそ、公の審査を借りる価値がある
認定を取ったから偉い、と言いたいのではありません。順序は逆で、先に守りたい約束があり、それを裏づける手段として制度を使う。宣言だけで終わらせないための、当社なりのやり方です。
もし読んでいるあなたの会社にも「口で言っているだけになっている約束」があるなら、それを公文書にできる制度がないか、一度探してみてください。入口は、お住まいの都道府県の窓口か、近くの商工会議所です。相談は無料です。