パートナーシップ構築宣言とは何か
「パートナーシップ構築宣言」は、内閣府・中小企業庁などが推進している取り組みです。企業が、取引先(特に下請けや外注先)との付き合い方について自ら約束をまとめ、専用のポータルサイトで公表するというものです。
背景にあるのは、大きな会社から小さな会社への「しわ寄せ」の問題です。発注側が値下げを一方的に求める、支払いを先延ばしにする、原材料が上がっても価格に反映させない。こうした慣行が、サプライチェーンの下流にいる中小企業の体力を削ってきました。そこで、発注側の企業に「うちはそういう取引をしません」と名前を出して宣言してもらう仕組みが作られました。
宣言した企業は、ポータルサイトに社名が掲載され、誰でも検索して確認できます。当社の宣言も、そこでご覧いただけます。
宣言では、何を約束するのか
宣言には型があり、大きく次のような内容を約束します。当社が宣言したのも、この枠組みです。
1. サプライチェーン全体の共存共栄
直接の取引先だけでなく、その先の取引先まで含めて、全体で付加価値を高める関係を目指すという約束です。取引先を「安く買い叩く相手」ではなく、対等なパートナーと位置づける、と言い換えられます。
2. 取引条件・支払条件の適正化
こちらはより具体的です。適正な価格で取引をする。しわ寄せを生む一方的な条件変更をしない。手形払いなどで支払いを引き延ばさず、支払条件を適正に保つ。下請け取引で問題になりやすい点が、そのまま約束の項目になっています。
3. その他の協力
働き方改革への配慮や、災害時の協力など、取引先と一緒に取り組む項目を、自社の実情に合わせて書き加えます。
「取引で、立場の弱い側に負担を押しつけません」という約束を社名入りで公開するものです。
小さな会社でも、無料で宣言できる
この宣言、名前の印象から「大企業の取り組み」と思われがちです。実際、ポータルサイトには誰もが知る大企業が並んでいます。ですが実務上の事実として、次の3点を知っておく価値があります。
- 登録は無料 費用は一切かかりません
- 規模の制限がない 中小企業でも、従業員のいない会社でも宣言できます。当社がその実例です
- 手続きは書いて登録するだけ ひな形が用意されており、自社の取り組みを書き込んでポータルサイトから登録します。審査で落とされる種類のものではなく、形式が整っていれば公表されます
当社のような一人の会社でも、宣言から公表まで特別な壁はありませんでした。「うちみたいな規模で出していいのか」とためらう必要はない、というのが経験しての実感です。
外注先のいない当社が、なぜ宣言したのか
ここで、当然の疑問があると思います。当社は制作を外注していません。下請けへのしわ寄せを防ぐ宣言を、下請けを持たない会社がする意味はあるのか。
理由は2つあります。
1. 取引は、外注だけではないから
外注先がいなくても、取引はあります。お客様がいて、お取引先がいて、これから生まれるご縁もあります。そして当社は、規模で言えば「しわ寄せを受けやすい側」の会社です。だからこそ、自分が誰かと取引をするときに同じことをしない、という約束を先にしておきたい。立場が変わったときにどう振る舞うかは、立場が変わる前に決めておくものだと思っています。
2. 姿勢を第三者の場に置いておきたいから
当社のサイトには、料金も、含まれない作業も、解約条件も書いてあります。ただしそれは全部、当社が自分のサイトに書いていることです。宣言は、内閣府・中小企業庁が推進する公の枠組みの中に、当社の姿勢を置くことになります。当社のサイトを信用するかどうかとは別の場所で、確認していただけるものがひとつ増える。小さな会社にとって、これは無料で得られるものとしては大きいと考えました。
この宣言の限界
持ち上げてばかりでは公平でないので、この宣言の限界も書いておきます。
1. 宣言は自己申告です
パートナーシップ構築宣言は、審査を経て認定される制度ではありません。書いて登録すれば公表される、自己申告の宣言です。つまり「宣言している=信頼できる会社」とは限りません。宣言していても実態が伴わない会社はあり得ますし、宣言していなくても誠実な会社はいくらでもあります。
2. だから、それ単体では強い証明にならない
当社は一人の会社が公的認定に挑む理由で、審査のある認定を申請している話を書きました。審査のある認定と自己申告の宣言。裏づけとしての強さで言えば、宣言のほうが弱いです。これはそこは認めます。当社は、宣言を「信用の証明」ではなく「約束の公開」として使っています。証明は審査のある制度に任せ、宣言は姿勢を先に言っておくためのもの。役割が違います。
3. 効果を数字で語れる段階ではありません
宣言したことで受注が増えたか、と聞かれれば、分かりません。それを狙ったものでもありません。効果を測って報告できる類のものではない、というのが正味のところです。
宣言しただけで終わらせないために
自己申告の宣言は、放っておけばただの飾りになります。当社が「飾りにしない」ためにやっているのは、宣言の中身を、確認できる具体的な条件に落としておくことです。
- 適正な価格 料金は全額公開し、相手を見て金額を変えることをしません
- 一方的な条件変更をしない 含まれる作業・含まれない作業の境界線を契約前に文書で示し、あとから「それは別料金」と言いません
- 相手を縛らない 最低契約期間を廃止し、解約時はドメインもデータもすべてお渡しします
つまり当社にとって宣言は、新しい約束というより、すでにサイトに書いてある約束を、公の枠組みの中でもう一度言ったものです。逆の順序(宣言を先に出して、実態をあとから合わせる)だと、たぶん飾りで終わっていたと思います。
もし読んでいるあなたの会社が宣言を検討するなら、おすすめの順序も同じです。先に、自社がすでに守れていることを棚卸しする。それを宣言の言葉にする。守れていないことを書くと、宣言が嘘になってしまいます。
実際に聞かれた質問
パートナーシップ構築宣言とは何ですか?
内閣府・中小企業庁などが推進している取り組みで、企業が「取引先との共存共栄」や「取引条件・支払条件の適正化」を自ら宣言し、専用のポータルサイトで公表するものです。下請けや外注先へのしわ寄せを防ぎ、サプライチェーン全体で付加価値を高めることを目的としています。宣言した企業は、ポータルサイトで社名を検索して確認できます。
小さな会社でも宣言できますか?費用はかかりますか?
できます。登録は無料で、企業の規模による制限はありません。当社は従業員のいない会社ですが、宣言を公表しています。宣言のひな形が用意されており、自社の取り組みに合わせて内容を書いて登録する流れです。詳しくはパートナーシップ構築宣言のポータルサイトでご確認ください。
外注先のいない会社が宣言する意味はありますか?
あると思います。当社は制作を外注していませんが、取引は仕入れだけではありません。お客様・お取引先・将来お付き合いが生まれるかもしれない相手も含めて、対等で適正な条件の取引をすると先に約束しておくことに意味があります。また、宣言はポータルサイトで公表されるため、当社がどんな姿勢の会社かを第三者の場で確認していただけます。
宣言すれば信頼できる会社ということですか?
そうとは限りません。宣言は自己申告であり、審査を経た認定とは性質が違います。宣言していても実態が伴わない会社はあり得ますし、宣言していなくても誠実な会社はたくさんあります。宣言は入口にすぎず、実際の取引条件や対応と突き合わせて判断するのが確実です。当社も、宣言と実際の条件を並べて確認していただける状態にすることを心がけています。
小さな会社でもできること
大企業向けの取り組みだと思い込んでいました。
- パートナーシップ構築宣言 取引先との共存共栄・支払条件の適正化を、社名入りで公表する取り組み
- 登録は無料・規模の制限なし 従業員のいない当社でも宣言できた
- 自己申告である 審査のある認定より裏づけとしては弱い。「証明」ではなく「約束の公開」
- 飾りにしない鍵は順序 すでに守れていることを棚卸ししてから、宣言の言葉にする
当社の宣言は認定・資格のページからもたどれます。そして宣言が本当かどうかは、当社の実際の条件(料金、範囲、解約)と突き合わせて確かめてください。突き合わせて確かめられる状態にしておくことが、宣言を宣言のままで終わらせない、当社なりの答えです。
もしご自身の会社でも「取引先への姿勢は決まっているのに、外から見えない」と感じているなら、この宣言は無料で使える公表の場になります。ポータルサイトを一度のぞいてみてください。