- ドメイン
- 「nextray.jp」のような、インターネット上の住所です。名刺やチラシに書くのはこれで、一度決めたら変わりません。
まず、当社の調査結果
結論から出します。2026年8月7日、法人設立の準備として「NextRay」という商号を調査した結果です。
- 登記できるか できる。登記が拒まれる条件(後述)に当たらない
- 同じ読みの会社があるか ある。他県に実在した。ただし所在地も業種も違うため、法律上の問題にはならないと判断した
- 商標はあるか 「NextRay」「ネクストレイ」とも、日本での商標登録・出願は0件だった
- ドメイン nextray.jp は当社が取得済み
「使える」という結論に至るまでにかかった費用は0円、時間は半日でした。ただ、調べる過程で「知らずに進めていたら危なかった」と感じた箇所がいくつかあります。順に書いていきます。
登記のルールは、思っているよりゆるい
「同じ名前の会社がすでにあると登記できない」と思われている方が多いのですが、現在のルールは違います。
かつては「同一市区町村内で、同一・類似の商号かつ同業種」の登記が制限されていましたが、2006年施行の会社法でこの類似商号規制は廃止されました。いま登記が認められないのは、原則として次の1パターンだけです。
登記できないのはこれだけ
同一の本店所在場所に、同一の商号の会社がすでにある場合(商業登記法27条)。つまり、まったく同じ住所に、まったく同じ名前の会社が登記されているケースです。普通に起業する分には、まず当たりません。
ここで安心してはいけない、というのがこの記事の主旨です。「登記できる」ことと「その名前を安心して使い続けられる」ことは、まったく別の問題だからです。登記が通っても、他人がその名前の商標権を持っていれば、看板やサイトでの使用を差し止められる可能性があります。だから調査は登記のルールで終わらせず、次の3段階まで進めます。
同じ名前の会社を探す方法
無料で使える公的なデータベースが2つあります。
① 国税庁 法人番号公表サイト
日本のすべての法人の商号・本店所在地が公開されています。候補の社名で検索すると、同じ名前・似た名前の会社が全国のどこにあるかが分かります。読み方が同じで綴りが違うパターン(ローマ字表記の揺れなど)も、思いつく限り検索しておきます。
当社の場合、ここで同じ読みの会社が他県に実在することが分かりました。所在地が違うので登記はでき、業種も違うため混同のおそれも立ちにくい。そう整理しましたが、この確認をせずに設立していたら、あとから知って肝を冷やしていたはずです。
② 法務局の商号調査
本店を置く予定の住所を管轄する法務局で、同一所在場所に同一商号がないかを確認できます(無料)。自宅や自社物件で登記するなら形式的な確認ですが、申請してから補正(やり直し)になるのを防ぐため、申請前に一度確認しておくことをおすすめします。オンラインの登記情報提供サービス(有料)でも調べられます。
商標の検索が、いちばん重要でした
商号の登記は法務局、商標は特許庁。別の制度で、効力は商標のほうが強い。これが、調査していていちばん重要だと感じた点です。
商標は、特許庁のJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で無料で検索できます。当社が実際に行った検索は次の3通りです。
- 商標の文字列で検索 「NextRay」で0件
- カタカナ表記で検索 「ネクストレイ」で0件
- 称呼(読み方)で検索 同じく0件。綴りが違っても読みが同じ商標を拾うための検索です
ひとつ、実務的なコツを書いておきます。検索結果が0件だったとき、「本当に0件」なのか「検索方法を間違えている」のかが自分では区別できません。当社は同じ手順で誰もが知る有名企業の名前を検索し、きちんと複数件ヒットすることを確かめてから、「NextRayは0件」という結果を信用しました。道具の動作確認を先にする、というだけの話ですが、これをやるかどうかで結果の信頼度が変わります。
0件は「安全」であると同時に「早い者勝ち」でもある
誰も商標を持っていないなら、いま使い始めても差し止められる相手はいません。ただし裏を返せば、他の誰かが先に商標を取れば、こちらが後から使えなくなる可能性があるということでもあります。商号の登記に商標を防ぐ力はありません。
自分で出願する場合の特許庁への法定費用は、1区分あたり出願料と10年分の登録料をあわせて4万円台からです(金額は改定されることがあります。最新は特許庁のサイトでご確認ください)。当社は、法人化して資金に余裕ができた段階で、ウェブサイトの設計・作成が含まれる区分から出願することを検討しています。急ぐ話ではありませんが、「0件」という好条件が永久に続く保証はない、と自分に注記しました。
ドメインとSNSアカウントの確認
法律上の調査と並行して、実務上の陣地も確認します。
- ドメイン 候補の社名の .jp / .com が空いているか。当社は nextray.jp を先に取得しています。同名の会社が複数あっても、ドメインは世界に1つしかありません。ここを押さえているかどうかは、検索で混同されたときの強い差になります(ドメインの決め方は別の記事に書きました)
- SNSアカウント InstagramやLinkedInなどで、候補名のアカウントが取れるか。社名と揃ったアカウント名は、それだけで本物らしさになります
- 検索結果 候補の社名でGoogle検索し、1ページ目に何が出るかを見ておきます。同名の別会社が先に出るなら、指名検索で混ざる前提で発信を設計することになります
この判断の限界
1. 当社の判断が唯一の正解ではありません
「同じ読みの会社があっても、所在地と業種が違うから問題ない」というのは当社のケースでの整理です。同業・同地域で似た名前が見つかった場合は、話がまったく変わります。不正競争防止法や会社法8条(誤認されるおそれのある商号の使用禁止)に関わる判断は、司法書士や弁理士に相談してください。当社は法律事務の代理はできません。
2. 検索で混ざる問題は、残ります
法律上は問題がなくても、同じ読みの会社と検索結果で混ざるという実務上の不都合は消えません。当社も、社名で検索すると別の会社の採用ページが表示されることを確認済みです。ドメインと、続けてきた発信の実績で見分けてもらう。その前提で進めています。この不便を許容できないなら、名前そのものを変えるのが正解です。
3. この記事は2026年8月時点の調査です
商標は日々出願されています。この記事の「0件」は調査日時点の結果であり、これから起業される方は必ずご自身の候補名で、その時点の検索をしてください。制度や費用も変わることがあります。
調査手順のまとめ(チェックリスト)
当社が実際に行った順番です。上から順に、半日あれば終わります。
- 国税庁 法人番号公表サイトで、候補名と「読みが同じ別綴り」を検索する
- 同名・類似の会社が見つかったら、所在地と業種をメモする(同業・同地域なら専門家に相談)
- J-PlatPatで商標を検索する 文字列・カタカナ・称呼の3通り
- 有名な名前で検索の動作確認をしてから、結果を信用する
- 候補名のドメイン(.jp / .com)の空きを確認する
- 主要SNSでアカウント名の空きを確認する
- 候補名でGoogle検索し、1ページ目に何が出るかを見る
- 登記申請の前に、法務局で同一所在場所・同一商号の最終確認をする
ここでよく出る質問
同じ名前の会社がすでにあると、登記できませんか?
登記できない場合は限られています。現在の会社法では、登記が認められないのは「同一の本店所在場所に同一の商号」がある場合だけです。ただし登記できることと、その名前を安心して使い続けられることは別の問題で、商標や不正競争防止法の確認もあわせて行うことをおすすめします。
商標は自分で調べられますか?
調べられます。特許庁のJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)は無料で誰でも使えます。商標の文字列だけでなく「称呼(読み方)」でも検索できるので、綴りが違って読みが同じ商標も確認できます。検索が正しくできているか不安なときは、有名な社名で試して件数が出ることを確かめる方法があります。
商号の登記と商標登録は何が違うのですか?
別の制度です。商号の登記は「その名前で会社を作った」という記録で、法務局が管轄します。商標は「その名前を商売の目印として独占的に使う権利」で、特許庁が管轄します。効力は商標のほうが強く、商号を登記できていても、他人がその名前の商標権を持っていれば使用を差し止められる可能性があります。
調査は専門家に頼むべきですか?
一次調査はこの記事の手順で自分でできます。費用もほぼかかりません。ただし、似た名前の会社が同業・同地域に見つかった場合や、商標の判断に迷う場合は、司法書士や弁理士に相談する価値があります。当社は法律事務の代理はできませんので、個別の判断が必要な場合は専門家におつなぎする前提で書いています。
登記が通ることと、安全なことは別
登記が通ることと、その名前が安全なことは別の話です。
- 登記のルールはゆるい 拒まれるのは「同一住所に同一商号」だけ
- だからこそ、登記できても安心してはいけない 同名の会社は普通に存在しうる
- 商標のほうが強い J-PlatPatで文字列・カタカナ・称呼の3通りを無料で検索する
- ドメインとSNSは早い者勝ち 法律とは別の、実務の陣地
- 迷うケースは専門家へ 同業・同地域の類似は自己判断しない
会社の名前は、これから何千回も書き、名乗るものです。半日の調査で避けられるやり直しなら、設立準備のいちばん最初にやっておく価値があると思います。当社の設立準備の実録は、合同会社のつくり方と会社の実印の実録にも書いています。