いま、当社はここまで進んでいます
この記事を書いている2026年8月8日時点の、当社の実際の進捗です。
- 社名(商号)が他社の登記や商標に当たらないかの調査 済み(やり方は別記事に書きました)
- 定款の下書き 済み(内容の最終確認はこれから)
- 会社の実印 発注済み(最安を比較した記録も公開しています)
- 登録免許税の軽減に必要な、市の証明書の取得 進行中。ここがいちばんの綱渡り(後述)
- 法務局への登記申請 9月上旬の予定
つまりこの記事は、成功者が振り返って書く「こうすればうまくいく」ではありません。まだ設立できていない会社が、いま何につまずいているかも含めて書く記録です。そのほうが、これから通る方の役に立つと考えました。
合同会社と株式会社の違い(簡単に)
法人には主に株式会社と合同会社があります。細かい違いは専門書に譲り、選ぶときに効く点だけ挙げます。
- 設立費用 合同会社のほうが安い。登録免許税の最低額は株式会社15万円に対し合同会社6万円。さらに合同会社は定款の公証人認証(約5万円)が不要です
- 維持の手間 合同会社には決算公告の義務がなく、役員の任期による重任登記も不要です
- 向き不向き 外部から出資を集めたい・上場を目指すなら株式会社。一人や家族で回す事業なら、合同会社で困る場面はほぼありません
当社が合同会社を選んだ理由は単純で、出資は受けず一人で経営するため、株式会社の仕組みに払うお金と手間の意味がなかったからです。「合同会社は信用が低いのでは」という声もありますが、Apple・Google・Amazonの日本法人も合同会社です。信用は法人格の種類ではなく、事業の中身で作るものだと考えます。
設立までの流れと必要書類
大きな流れは「決める → 作る → 出す」の3段階です。
① 商号・本店・事業目的・資本金を決める
社名、会社の住所、何をやる会社か、資本金の額。ここが全部の書類の前提になるので最初に確定させます。とくに商号は、実印の発注も定款も登記もすべてこれに依存するので、1文字も揺らがない状態にしてから次へ進みます(当社は「前株か後株か」の決定が遅れ、実印の発注が止まりました)。
② 定款と法務局へ出す書類一式を作る
当社の場合、法務局へ出すのは次の書類です。
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| 定款 | 会社のルールブック。電子定款(PDF+電子署名)にすると印紙代4万円が0円になる |
| 設立登記申請書 | 法務局の様式に沿って作成 |
| 登記すべき事項 | 登記簿に載る内容。オンライン申請なら直接入力 |
| 本店所在地・資本金等の決定書 | 定款で本店を「新潟県新潟市」までしか定めない場合、番地を決めた証明が別に要る |
| 代表社員の就任承諾書 | 定款の書き方によっては理論上不要だが、窓口によっては求められる。1枚なので用意する |
| 払込証明書+通帳コピー | 資本金を払い込んだ記録。通帳の表紙・見開き・入金行の3枚 |
| 個人の印鑑証明書 | 発行後3か月以内。マイナンバーカードがあればコンビニで取れる |
| 印鑑届書 | 会社の実印を法務局に届け出る |
電子定款には電子署名が必要で、マイナンバーカードと、カードを読む機器(ICカードリーダーまたはNFC対応スマホ)を使います。無料の署名ソフトを使えば費用をかけずに済みますし、設立支援サービスに数千円で代行してもらう道もあります。
なお合同会社の定款で見落とされがちなのが、持分の相続に関する定めです。この条項が無いと、代表社員が亡くなった場合に会社が解散になってしまう可能性があります。自力で作る方も、ここだけは司法書士か法務局の登記相談(無料・予約制)で確認を取ることを強くおすすめします。
③ 法務局へ申請する。申請した日が会社の設立日
窓口・郵送・オンラインの3通りありますが、初めてなら窓口持参が安全です。その場で不備を指摘してもらえます。そして重要なのは、登記を申請した日が、そのまま会社の設立日になることです。設立日にこだわりがある場合は、申請日から逆算して全体の段取りを組みます。当社が9月始まりの事業年度に合わせて9月上旬申請を目指しているのも、この理由です。
費用はいくらかかるか
当社の見込み額です。制度や手数料は変わることがあるので、実行前に最新の金額をご確認ください。
| 項目 | 金額 | 補足 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 30,000円 | 軽減後。通常は最低60,000円(後述の制度で半額) |
| 定款の印紙代 | 0円 | 電子定款のため。紙の定款だと40,000円 |
| 会社の実印 | 約3,000〜10,000円 | 当社は比較の結果、もっと安く済みました(別記事) |
| 個人の印鑑証明書 | 数百円 | 1〜2通 |
| 合計(自力+軽減の場合) | 約35,000〜45,000円 | 司法書士に依頼すると別途6〜10万円程度 |
「会社を作るには数十万円かかる」というイメージをお持ちの方が多いのですが、合同会社を自分で・電子定款で・軽減制度を使って作ると、実費は4万円前後まで下がります。ここまで下げられると知らずに法人化を先送りしている方は、案外多いのではないかと思います。
書類の日付には、順序がある
今回の準備でいちばん「知らなかった」と感じた話です。設立書類に書く日付は、次の順序を守らないと登記が通りません。
- 個人の印鑑証明書を取得(発行後3か月以内のものが有効)
- 定款の作成日=電子定款に電子署名した日
- 資本金の払込日=定款作成日と同日か、それより後
- 登記申請日=会社の設立日
とくに危ないのが3番です。資本金の払込が定款作成日より前だと、無効になります。「会社を作るぞ」と決めた勢いで、先にお金を口座に入れてしまう。この順序が、実は失敗パターンです。
さらに細かい話ですが、払込は「残高がある」だけでは足りません。通帳に払込額の入金記録という1行が残っている必要があります。すでに口座にあるお金でも、いったん出して入れ直して記録を作ります。金額は定款に書いた資本金と1円単位で一致させます。
登録免許税は半分にできる(ただし条件つき)
多くの市区町村に「特定創業支援等事業」という制度があります。自治体が指定する創業支援(セミナーや継続的な窓口相談など)を一定の回数・一定の期間以上受けて証明書をもらうと、登録免許税が半額(合同会社なら6万円→3万円)になります。新潟市にもこの制度があり、当社も利用しています。
ただし、実際にやってみて分かった注意点が2つあります。
- 証明書は、登記申請のときに添付しないと効きません。設立したあとに取っても、差額の3万円は返ってきません
- 証明書は自動では届きません。支援を受け終えたあと、市へ交付申請をして、審査と交付を待つ必要があります。当社の自治体では不備がなければ5営業日以内が目安ですが、郵送受取だとさらに日数がかかります
当社はいま、この証明書の交付が設立予定日に間に合うか、ぎりぎりの日程になっています。支援の受講回数の要件を満たすのが8月下旬、そこから交付申請をして、9月上旬の登記申請に間に合わせる計画です。対策として、郵送ではなく窓口での受け取りを選んで数日を稼ぐことにしました。もし間に合わなければ、設立日を数日ずらしてでも軽減を取る予定です。3万円と数日なら、数日を差し出すほうが得だからです。
これから法人化する方への教訓はひとつです。この制度を使うなら、支援を受け始める時期から逆算して、設立日の数か月前に動き出してください。証明書のタイミングでつまずいた経緯だけを切り出したものが登録免許税が半額になる制度と、証明書という落とし穴です。
設立した「あと」の届出を忘れない
登記が通れば終わり、ではありません。期限つきの届出が続きます。主なものだけ挙げます。
- 税務署へ法人設立届出書 設立から2か月以内
- 青色申告の承認申請書 設立から3か月を経過する日の前日と初年度末日の前日の早いほう。これを落とすと赤字の繰越しができず、税金面の不利が何年も続きます。設立届と同時に出すのが安全です
- 都道府県と市町村へも法人設立届 国の税務署とは別に必要です
- 法人口座の開設 登記完了後、登記事項証明書と法人の印鑑証明書が取れてから。ネット銀行のほうが早い傾向があります
まだ書けていないこと
1. まだ設立できていません
繰り返しになりますが、この記事は進行中の記録です。この後つまずく可能性は普通にあります。うまくいってもいかなくても、結果はまたこのコラムで書くつもりです。
2. 専門家に頼まない選択が、常に正しいわけではありません
当社が自力で進めているのは、費用を抑えたいのに加えて、手続きの中身を自分で理解しておきたいからです。ですが、調べる時間を数日単位で使っています。本業が忙しい方なら、司法書士への報酬6〜10万円は「時間を買う」対価として十分に合理的です。
3. この記事は法律・税務の助言ではありません
当社はホームページ制作の会社であり、士業ではありません。この記事は自社の体験の記録で、内容は2026年8月時点のものです。個別の判断は、司法書士・税理士・法務局・自治体の窓口でご確認ください。
ここでよく出る質問
合同会社の設立費用はいくらかかりますか?
自分で手続きし、電子定款を使い、登録免許税の軽減(自治体の特定創業支援制度)を受けられる場合、当社の見込みでは実費およそ3万5千〜4万5千円です。内訳は登録免許税3万円(軽減後。通常は6万円)、会社実印数千円、印鑑証明書数百円など。司法書士に依頼すると別途6〜10万円程度が加わります。金額は制度や時期で変わるため、最新の情報をご確認ください。
合同会社と株式会社は、どちらがいいですか?
外部から出資を受けたい、将来の上場を考えている場合は株式会社が向きます。一人や家族で事業を回し、コストを抑えたい場合は合同会社が合理的です。設立費用が安く、定款の認証が不要で、決算公告の義務もありません。取引先への信用は法人格そのものより事業の中身で決まる、というのが当社の考えです。
書類の日付で気をつけることはありますか?
定款作成日→資本金の払込日→登記申請日の順序を守ることです。払込が定款作成日より前だと無効になります。会社を作ると決めた勢いで先にお金を口座に入れてしまう失敗が典型で、順序を1日でも逆転させると登記が通りません。また払込額は定款に書いた資本金と1円単位で一致させる必要があります。
専門家に頼まず自分で設立できますか?
できます。当社も自力で進めています。ただし合同会社の定款には、代表社員が亡くなった場合に会社が解散になることを防ぐ条項(持分の相続に関する定め)など、抜けると重大な結果になる項目があります。全部を任せなくても、定款の要所だけ司法書士や法務局の無料登記相談で確認を取ることをおすすめします。
調べてみて分かったこと
「法人化は高い」という思い込みから調べ始めました。
- 一人で回す事業なら合同会社が合理的 費用も維持の手間も株式会社より軽い
- 自力+電子定款+軽減制度で、実費は4万円前後 「法人化は高い」は思い込みかもしれない
- 日付の順序を守る 定款作成→払込→登記申請。払込を先にやらない
- 登録免許税の軽減は、登記申請「前」に証明書を手にしていることが条件 数か月前から逆算して動く
- 設立後の届出、とくに青色申告の申請を落とさない
法人設立は、調べれば自分でできる手続きです。ただし「順序」と「期限」という見えない落とし穴が各所にあります。この記事が、これから通る方の地図になれば幸いです。設立が完了したら、結果もこのコラムでご報告します。